姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

Ep.203 向き合うべきなの?


翌日。
授業の合間に教室を出たところで、移動教室から帰ってきた天音ちゃんに会った。

「姫ちゃん!」

怪訝な顔をする友達たちを先にB組の教室に戻させると、天音ちゃんは笑顔で私に手を振ってくる。

その屈託のない姿を見て、私は重要なことを思い出した。


(そうだ、天音ちゃんも近江涼介のことが好きなんだった……!!)


自分の感情に対応するので手一杯ですっかり忘れていた。

“実は私も近江涼介のことが好きだっだみたいなのよね”
って教えるべきなのかしら?

……でもそんなこと教えて何になるの?
いやでも、言わないとなんか卑怯な気もするし、う――ん。

友達関係における“普通”がわからなくて悩む。

“恋”が絡んだ途端、考えたり悩んだりすることが一気に増えた。

「ひ、姫ちゃん……?」

驚いたり首を捻ったりと百面相をしている私を、天音ちゃんは戸惑った様子で見ている。

ジッとその顔を見ると、何故かやましい事をしてしまったような罪悪感が湧き上がる。

言うべきか、言わないべきか。
はたまた別の正解があるのか……

「ごめん、今日は1人にして……。」

私の脳みそはもう処理落ち状態。
美少女にあるまじきゲンナリ顔で、トボトボと歩いて天音ちゃんの元を去っていった。

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