姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―
#望む未来へ

Ep.234 センチメンタル

8月も終盤だと言うのに、夏の暑さは変わらない。
窓の外では蝉が喧しく鳴いていて、強い光線がジリジリとアスファルトを照らして揺らす。

エアコンの効いた自室から窓の外を眺めている。
シャーペンを弄びながら、私はまだみんなで遊んだ夏の思い出の中にいた。

(進路……か……。)

“まだ将来を具体的に考えなくてもいい”
“もっとシンプルな理由でいい”

榛名聖から言われたそんな趣旨の言葉を思い出す。
それならもっと目の前を見てみようって思ったまではいいけれど、今の私の望みってなんだろう?

上手くまとまらなくて、問題解きかけのノートのページにシャーペンを走らせる。

“みんなとまた一緒に遊びたい”
“くだらない話をしたい”


…………目の前を考えれば考えるほど、後ろ向きになったしまうなぁ。

煩悩だらけのページを破って丸めて捨てる。
悶々とした思考をリセットするために、数学の問題を解く作業に戻ることにした。
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