姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

「まぁ、わざわざありがとうございます。
主人も中で待ってますから…どうぞ、お入りになってくださいね。」

金髪母は受け取った手土産を、側にいたお手伝いさんに渡して私たちを招き入れる。


黒髪で着物が似合う上品美人。
控えめなのに少し気の強さを感じるのは、金髪にそっくりの猫目だからだろうか。

金髪と金髪母に続いて、長すぎる廊下を足音も立てずに歩く。

とりあえず、金髪母から心象は良さそうだったから第一段階はクリアか?


――でもなんだろう、この緊張感。

異常さを感じるほどの静寂に、音が鳴らないよう慎重に唾を飲み込む。


背筋をシャンと伸ばして胸を張り歩く金髪の後ろ姿はやっぱり別人のよう。派手な髪色だけが奴であることを示している。

そう思う位の毅然とした立ち居振る舞いの自然さは、一朝一夕で身につくものではないはずだ。


“とっても過保護なんだよ。……お家が。”


――榛名聖の言っていたことは、半分正解で半分不正解なんじゃない?

生活音が一切しない、無機質で張り詰めた異空間。

この嫌な違和感の原因を、私はすぐに知ることになる。
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