姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

Ep.23 いざ決戦の時


静かで長い廊下もようやく終わりを迎える時、金箔が散る高そうな襖の前で立ち止まる。


金髪母が徐に襖の前に膝をつき戸口に手を掛けた。

すると、毅然としているのにどこか緊張した面持ちの金髪が、急に振り返って小声で私に囁いた。

「悪い、先に謝っておく。」

「は?何を――……」


「――こちらです。」

金髪母が、客間の襖をそっと開ける。


――瞬間、窓も開いてないから風なんか吹き込む訳もないのに、体を押し潰すような険しい圧を感じた。

「失礼します。父さん、帰りました。」

「…失礼致します。」


絶対に物音を立ててはいけない――
そう本能が警告するから一歩踏み出すのにも勇気がいる。

金髪からも萎縮した緊張感をビシバシと感じるから、余計に、だ。

広い部屋には何やら豪華な生花や掛け軸、高そうな壺なんかが飾ってある。だけどそれに気を取られる隙もない。


――だって、そこに君臨する部屋主の威圧感が半端ないから。


「………紹介します。こちら、僕がお付き合いしている藤澤姫さんです。
姫さん、こちらは僕の父です。」

「……藤澤姫と申します。」


慎重に圧を発する金髪父にゆっくりと頭を下げる。
上品にお腹の辺りで重ねた手に汗が滲んだ。


部屋の主は何も言わない。
仏頂面で鎮座しているだけだ。

顔立ちはなんとなく金髪を感じさせるけど、恐怖を覚える険しい表情は似ても似つかない。

きっと大企業トップとして厳しい世の中を渡り歩いてきた年の重みなのだろう。


「座りなさい。」

言われるまま、金髪と私は金髪父の向かいに座った。

距離が縮まると余計に怖くて今すぐ逃げ出したい気持ちになった。
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