誰にも言うなよ ~結婚式の後始末~
その頃、自宅のキッチンで明巳は押し付けられた妻、ほたるに語っていた。
「この間、頭が下げられないなんて、仕事の本質がわかっていない証拠だと言われて、ファミレスに行かされてたじゃないか。
今日、じいさんが会社に訪ねてきたとき、たまたま、ここを片付けたときのことを思い出して、自分でデスクの上を片付けていたら、
『ようやく仕事とはなにかわかったようだな』
と言われて。
もうファミレスとかには行かなくていいと言われたんだ。
じいさんの言う仕事の本質とは、掃除のことだったのか?」
「……違うでしょう」
この調子じゃ、またバイトに行かされるな、
とほたるは思いはしたが、まあ、それも楽しそうかなとも思う。
「そういえば、生気が吸い取られそうなコロッケがあるんですが、食べますか?」
「唾液じゃなくてか」
「微妙な味で、食べると、なにかちょっと悲しい気持ちになるコロッケなんですが」
「お前は何故、それを夫に食べさせようとする……」
そんなこんなで、二人は生気を吸い取られそうなコロッケをつまみに酒を呑んで、夜が更けるまで語り合った。