誰にも言うなよ ~結婚式の後始末~
キッチンには灯りがなかった。
また、HELP ME! とか叫んでいる人を見捨てて、金やライフを拾いに行っているのかと遊戯室も覗いてみたが、ほたるはいなかった。
深い喪失感に包まれたとき、ペタペタと暗がりからスリッパの音がした。
スマホのライトで足元を照らしながら、ほたるが奥からやってくるところだった。
こちらに気づいて、
「ああ、明巳さん」
と言う。
「……いや、ライトつけろよ」
ほたるは振り返りながら、
「この長い廊下の最初の方の電気、ここまで来たら切れないじゃないですか。
もったいないなあって思って」
と言う。
なんか、そういうのを聞くと、きちんと育てられたって感じだな、と思う。
「それは、おばあさんのしつけなのか」
と訊いてみたが、
「いえいえ。
電気切って歩くのは、一人暮らしをするようになってからの癖で。
おばあちゃんには、バチバチバチバチ切って歩くなって、家帰ったときは怒られてましたね」
と言う。