誰にも言うなよ ~結婚式の後始末~
「ええーっ?
 それは怠慢ですよ~っ」
と言うほたるに明巳は言う。

「正直、お前を好きだと気づいたばかりなんで。
 お前の何処がいいのか、自分でも、まだよくわからないんだが……」

「……私も、そんなことを言うあなたの何処をいいと思っているのか、自分でわからないですね。

 あなたが大きな手で作ったハンバーグやコロッケが好きだなって。

 あれが私たちの家庭の味で、これからずっと食べていく味になればいいなって思ったけど。

 実はただ、あの味が好きだったのかもしれませんし」

「……じゃあ、花久と結婚しろ」

 それは無機物です。

「ともかく、俺に胃袋をつかまれたってことだな」

 そういうんじゃないですけどね……、と思いながら、ほたるは言う。

「考えてみたら、二人でずっとキッチンにいたのも変ですよね――。
 どっちもたいして料理もしないのに」
とほたるは笑った。

「でも、あの場所で、二人でずっと暮らしていきたいなって思ったんです」

 あの場所で――

 違うか、と思う。

 明巳を振り向き、ほたるは言った。
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