すき、という名前の花
気を取り直して、Aは手に取った“束”を、そっと開いてみた。
指先に伝わるのは、ふわりと柔らかい紙の感触。
パラパラとめくるたび、その優しい手ざわりが、心のざわめきを少しずつなだめてくれる気がした。
中をのぞきこむと、そこには、入口で見かけた“記号”が、ぎっしりと並んでいた。
黒く、細く、整ったその線たち。
意味はまったくわからない。
けれど、なぜか目をそらすことができなかった。
元の場所に戻して、今度は別の一冊を手に取ってみる。
今度の中身には、記号だけじゃなく、小さな絵も添えられていた。
それは、まるで道路のような、どこか見覚えのある線のつながり。
けれど——心は、まだ静かなままだった。
この記号たちが、どんな“ことば”を語ろうとしているのか。
それがわからなければ、Aの胸に何かが届くことはない。
……それでも。
ほんの小さく、「もっと知りたい」と思う気持ちが、芽を出しかけている。
そのことに、Aはまだ気づいていなかった。
指先に伝わるのは、ふわりと柔らかい紙の感触。
パラパラとめくるたび、その優しい手ざわりが、心のざわめきを少しずつなだめてくれる気がした。
中をのぞきこむと、そこには、入口で見かけた“記号”が、ぎっしりと並んでいた。
黒く、細く、整ったその線たち。
意味はまったくわからない。
けれど、なぜか目をそらすことができなかった。
元の場所に戻して、今度は別の一冊を手に取ってみる。
今度の中身には、記号だけじゃなく、小さな絵も添えられていた。
それは、まるで道路のような、どこか見覚えのある線のつながり。
けれど——心は、まだ静かなままだった。
この記号たちが、どんな“ことば”を語ろうとしているのか。
それがわからなければ、Aの胸に何かが届くことはない。
……それでも。
ほんの小さく、「もっと知りたい」と思う気持ちが、芽を出しかけている。
そのことに、Aはまだ気づいていなかった。