朝まで、グラデーション
「美里、もう寝る?」
ソファーに座りながらリビングの壁時計を確認すると深夜二時。寝るのが勿体ないなと気持ちがよぎる。
「今野、明日、もう今日になるのか……仕事?」
「いや、休みだよ。美里は?」
「私も、休みだよ」
「どうしよう。ずっと起きてる?」
「そうしよっかな」
私の返事を聞くと今野はDVDをあさりだした。そしてまた床に無造作に置いていく。
「美里、さっきDVDの題名真剣に見てたけど、気になるのあったら今、観る?」
「うん、観たいかも。気になるというか、今野がオススメを選んでほしいな」
「分かった」
内容が気になるんじゃなくて、今野が何に興味があるのかが気になってたと言葉が出かかったけれど、心の中にだけにその言葉を収めた。
今野はDVDを眺めた後、結局「今俺のオススメは配信の方にあるかな」と、テレビのリモコンを持ち電源を点けた。映画配信アプリを起動させ、私の横に座る。久しぶりに隣に座って距離が近くて、私の心臓の音はひっそりと早くなる。どうにかして鎮まりたいと、私はDVDが再び散らかった場所を見る。
「それ、きちんと戻してよ。せっかく綺麗にしたのに」
「そうだよね、ごめん」と、今野は棚にDVDを戻した。
私が帰ったら、またすぐに散らかっちゃうんだろうな――。
テレビで流れ始めたのは、恋愛映画だ。
「これ、幽霊の女の人と人間の男の話なんだけどミステリー要素もあって、楽しいよ」
「そうなんだ、楽しみだな」
白くて大きなクッションを抱きしめながら私は画面の中の物語に集中しようとした。だけど、横にいる今野のことが気になりすぎて、集中できなかった。恋愛映画繋がりで、気になること聞いちゃおうかな。
「今野は今、恋人いるの?」
画面を眺めながら、でも意識は完全に今野の場所にある。
「いないよ」
「そうなんだ。好きな人とかは?」
「好きというか、一緒にいたいなって人は……いる」
私は勢いよく今野を見た。彼の視線は画面の中にあった。
「……そうなんだ、いるんだ」
「うん、いる」
今野はこっちを向いて、私たちは目が合う。
それ以上言葉を出すのが難しくなって、私は視線を彼からそらし、無言で画面を眺めた。映画の中の女性の悲鳴が部屋の中で響いた。
――そっか、いるんだ。
*
ソファーに座りながらリビングの壁時計を確認すると深夜二時。寝るのが勿体ないなと気持ちがよぎる。
「今野、明日、もう今日になるのか……仕事?」
「いや、休みだよ。美里は?」
「私も、休みだよ」
「どうしよう。ずっと起きてる?」
「そうしよっかな」
私の返事を聞くと今野はDVDをあさりだした。そしてまた床に無造作に置いていく。
「美里、さっきDVDの題名真剣に見てたけど、気になるのあったら今、観る?」
「うん、観たいかも。気になるというか、今野がオススメを選んでほしいな」
「分かった」
内容が気になるんじゃなくて、今野が何に興味があるのかが気になってたと言葉が出かかったけれど、心の中にだけにその言葉を収めた。
今野はDVDを眺めた後、結局「今俺のオススメは配信の方にあるかな」と、テレビのリモコンを持ち電源を点けた。映画配信アプリを起動させ、私の横に座る。久しぶりに隣に座って距離が近くて、私の心臓の音はひっそりと早くなる。どうにかして鎮まりたいと、私はDVDが再び散らかった場所を見る。
「それ、きちんと戻してよ。せっかく綺麗にしたのに」
「そうだよね、ごめん」と、今野は棚にDVDを戻した。
私が帰ったら、またすぐに散らかっちゃうんだろうな――。
テレビで流れ始めたのは、恋愛映画だ。
「これ、幽霊の女の人と人間の男の話なんだけどミステリー要素もあって、楽しいよ」
「そうなんだ、楽しみだな」
白くて大きなクッションを抱きしめながら私は画面の中の物語に集中しようとした。だけど、横にいる今野のことが気になりすぎて、集中できなかった。恋愛映画繋がりで、気になること聞いちゃおうかな。
「今野は今、恋人いるの?」
画面を眺めながら、でも意識は完全に今野の場所にある。
「いないよ」
「そうなんだ。好きな人とかは?」
「好きというか、一緒にいたいなって人は……いる」
私は勢いよく今野を見た。彼の視線は画面の中にあった。
「……そうなんだ、いるんだ」
「うん、いる」
今野はこっちを向いて、私たちは目が合う。
それ以上言葉を出すのが難しくなって、私は視線を彼からそらし、無言で画面を眺めた。映画の中の女性の悲鳴が部屋の中で響いた。
――そっか、いるんだ。
*