子を奪われた私が、再婚先の家族に愛されて、本当の母になるまで
もし、生きていれば。
きっともう、よちよちと歩いている頃だろうか。
誰かの手を握って、はにかむように笑ったりするのだろうか。
でもそれは、私ではない“誰か”の隣で。
私という存在を知らないまま、あの子は成長していくのだろう。
「……忘れたくないのに、忘れようとしてる」
膝を抱えて、夜の祈りの後、一人の部屋で小さく呟いた。
思い出せる記憶は、産声と、抱いたときの柔らかさだけ。
それすらも、時間の中で擦れていく。
――“母”として何もできなかったくせに。
私は、母であることにすがって生きている。