もう女じゃないなんて、言わせない
「ねえ……あのね。40の女で欲求満たそうと思ってるの?」

皮肉交じりに言ってやったのに、東條はあっけらかんとした顔でこっちを見た。

「……俺も40だけど?」

その瞬間――ドキッとした。

なんでそんな、同年代アピールでドキマギするのよ。

やめてよ、そういう軽口に本気を紛れ込ませるの。

言い返そうとしたときだった。

東條の手が、私の手をそっと握る。

「……心も満たすから。」

その言葉に、ふと見上げた東條の顔が、変わっていた。

目が鋭く、真剣で――

獲物を逃さない男の顔。

甘くて、強引で、迷いがない。

……まさか、この人、本当に私を抱こうとしてる?

しかも、ただの“体目的”じゃないとでも言いたげな顔で。

喉の奥が、かすかに鳴った。

この歳になって、こんなふうに手を握られて、戸惑ってる自分がいる。

私、まだ――こんなふうにドキドキしてしまうんだ。
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