もう女じゃないなんて、言わせない
胸元、ウエスト、太腿。

目が、私の体を確かめるように辿るのが分かった。

恥ずかしい。

けれど、その視線はただいやらしいだけじゃなくて、まるで何か大切なものを確認するような眼差しだった。

バスルームに入ると、東條が備え付けのリモコンに触れ、シャワーの温度を調整してくれた。

「熱くない? もうちょっとぬるくする?」

「……大丈夫。」

彼は棚の中からボディーソープを取り出して、容器を軽く振ってから見せた。

「ボディーソープ、これでいい?」

普通の、透明なボトル。

ホテルの備え付けなんて、本当は色気も何もない。

でも今は、不思議とそれすら丁寧に感じた。

私は静かに頷いた。

東條はソープを泡立て、濡れた自分の手で、私の肩に触れた。

ぬるり、とした泡が、私の肩から鎖骨へと流れていく。

そのぬくもりに、私は小さく息を呑んだ。

指先が丁寧で、やさしくて、でも……確実に、女として扱われていた。
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