もう女じゃないなんて、言わせない
彼がゆっくりこちらを見る。その視線に、少しだけドキッとする。

深くて、でもどこか探るような目。

「俺、そんなに軽く見える?」

「見えるっていうか、普通に魅力あるから。選び放題なんじゃないの?」

「選び放題か……」

東條はビールの泡を見つめながら、ぽつりと呟いた。

ぽつりと呟いた。

「……遊びか。」

グラスの縁を指でなぞりながら、私は小さく言った。

彼の口ぶりや態度が、なんとなく怪しい。

恋愛に興味がないようでいて、妙に余裕があるのは──多分、そういうことなのだろう。

その時だった。

東條のスマホが、テーブルの上で小さく震えた。

彼は何気ない顔で画面を見て、すぐにスマホを裏返した。

「仕事?」

「いや、仕事ではない。」

「ふーん……」

私は手を伸ばして、そのスマホをひょいと取る。

「おい、こら。」

「ちょっと見るだけ。」
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