もう女じゃないなんて、言わせない
ホテルのロビーに入ると、柔らかい照明と静かな空気に包まれる。

受付で悠真がスマートにチェックインを済ませ、カードキーを受け取った。

「7階だって。」

「うん。」

短い会話。でもその中に、たくさんの気持ちがこもっていた。

エレベーターのボタンを押すと、すぐにドアが開く。

中に入ると、閉まるドアの音がやけに静かに響いた。

ふたりきりの密室。

手は繋いでいないのに、肌と肌の距離がじわじわと縮まっていくようだった。

「……優香。」

「なに?」

「今日は絶対、忘れられない夜にするから。」

その低い声に、喉の奥がかすかに鳴る。

エレベーターは静かに上昇し、やがて“7”のランプが灯った。

ドアが開く――

そして、ふたりは今夜、ほんとうに“恋人”になる。

部屋に着くと、悠真はベッドの横にバッグを置いた。

私もなんとなく、その場に腰を下ろす。

今夜はきっと、この部屋で──そう思っていた矢先。
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