もう女じゃないなんて、言わせない
その言葉に、胸の奥がぎゅっと締めつけられる。

「……じゃあ、私って……」

「そう。優香は、俺にとって特別な女。」

さらりと、でも真っすぐに。
当たり前のように言うその言葉に、私は心を打たれていた。

「……ずるい。」

そう呟いた私の目元が、少し潤んでいたかもしれない。

悠真は、微笑みながら手を差し伸べた。

「ドレスコードいらないレストランだから、今のままでいい。行こ?」

私はその手を、そっと握った。

そう、これは“セックスのための夜”じゃない。

“私たちの関係が、本当に始まる夜”なんだ――そう思えた。

ディナーは、ホテル内の半個室フレンチレストランだった。

厚手のカーテンで仕切られた空間。

やわらかな照明に照らされたテーブルクロスの白が、落ち着いた緊張感を醸し出している。

さすがは一流ホテル。

メニュー表を開いた瞬間、思わず固まった。
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