もう女じゃないなんて、言わせない
でも、東條は何も言わなかった。

ただ、いつものように「じゃあ、またな」と笑って手を振った。

それから私たちは、“月に一度の飲み友達”になった。

距離が縮まることもなく、離れることもなく。

曖昧なまま、ぬるい関係が続いている。

まるで温度を保ちすぎた風呂みたいに、居心地はいいけど、どこか物足りない。

「それは大変だな。ヤりたい時だってあるだろう。」

東條が何気なく、でも妙に踏み込んだことを言う。

私は思わず、彼のおつまみに手を伸ばした。

「……言い方があるでしょ。」

口に入れた唐揚げを噛みながら、睨みつける。

「ほら、抱かれたい時? 性欲ある時? 女って、どうしてんの?」

悪びれもせずに、そんなことを言う。

本当にこの人は、男として“現役”なのだと思う。下世話なくらいに。

私はビールのグラスを手に取り、ぐいっと喉に流し込んだ。

その冷たさが、少しだけ頭をすっきりさせてくれる。

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