人質になったら敵総長に執着監禁されてます・・・?
条件なんて後付けだよ、なんて笑う朱羅は、ちょっとだけ困ったように笑っていた。
「なんでそこまで・・・。蒼翼狼(そうよくろう)が出てくる可能性も、」
「蒼翼狼が来ても、ちゃんと返り討ちにして縫ちゃんのこと閉じ込め続けれるくらいじゃないとね」
「遠慮します」
私だって、蒼翼狼が血凍霞(けつとうか)に勝てそうなら、条件とか気にせずみんなのところに帰る。
『勝てる』保証がないから、私は今ここにいるんだし。
「縫ちゃんはペースが崩れないね。そんなとこも可愛いよ。・・・あ、嬉しくないんだっけ?じゃあどうしようかな・・・」
「どうもしないで」
思わず逃げそうとすると、顔の横に両腕を置かれた。
こ、これが壁ドン・・・人生初の壁ドンがこんなにも嬉しくないものだとは・・・・。
「もしかして言葉よりも行動派がいいのかな?」
「ち、ちが・・・」
私は、好きな人以外にだったら、言葉でも行動でも揺らがないから・・・!
否定するよりも先に、顔の真横にあった腕が近づいてきた。
逃げるなら今、と思ったものの、気づいたらそれは叶わず。
あっという間に、私は朱羅の腕の中にいた。
「え、ちょ、はなっ・・・」
慌てて身をよじると、柔らかいものが耳たぶに当たった。
唇だ、これ絶対唇だ。
その唇は上に上がってきながら、ちゅっちゅっと小さくキスが落とされ続ける。
「あ、あぅ・・・っ」
「耳弱いの?可愛いね」
自分の弱点がバレて、顔が赤くなると同時に、耳の上のほうをカプリと甘噛みされた。
「や、やめっ・・・て・・・!」
「抵抗できてないよ。好きなんだ、こういうの?」
「好きもなにもっ・・・こんなのことされるの初めてだし・・・っ!」
一息にそう言い切ると、朱羅は嬉しそうに笑った・・・私の耳に唇が触れたまま。
その瞬間、ゾクッと背中になにかが走った気がした。
「感じてんの?・・・もっとしてあげる」
「し、しないでっ・・・」
抱きしめる力は弱いのに、それ以上に体に力が入らなくて、腕の中から抜け出せない。
そのまま、また何回もキスが落とされ、たまに甘噛み・・・。
その繰り返しなのに、慣れることなく、体が跳ねる。
「敏感なんだね」
するとなにかザラッとしたものが触れた。
「っえ・・・」
舐め、られ、てっ・・・。
耳の上のほうを舐められ、動揺すると、朱羅が止まった。
「・・・ほんとに可愛い」
そして、何事もなかったかのように、また耳にキスが落とされ始めた。
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