「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
その声に、迷いはなかった。

むしろ、それは深い尊敬と、自身の限界を受け入れた男の決意に思えた。

「兄は、政治が得意なんだ。本当は、剣術だって強い。ただ……俺の方がたまたま目立っただけで、兄上は皇太子に向かないなんて言われているけど。」

唇を噛んで、カイルは続けた。

「そうじゃない。兄上こそ、この国の未来に必要な人なんだ。俺には分かる。誰よりも近くで見てきたから。」

その言葉には、愛情すらにじんでいた。

兄を超えようとしていたはずの弟が、今はその背を支えたいと願っている──そんな心の変化を、私は感じた。

「……カイル。」

私の中でも、何かが変わろうとしていた。

ただ憧れていた人ではない。

自らの在り方に悩み、誰かのために道を譲れる人。

その優しさと強さを、私は心から尊く思った。
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