「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
「えっ⁉ 兄上が皇太子の座を自ら辞退した⁉」

急報を聞いた私は、思わず声を上げた。

驚愕する私の隣で、カイルも唇を引き結び、表情を険しくする。

「……兄上が、そんなはずが……!」

慌てて連れ立ち、大広間へと駆けた。

重厚な扉の向こうでは、すでに王とクラウディオ皇太子が対峙していた。

空気が張り詰め、まるで剣を交えているかのような緊張感が漂う。

「クラウディオ、考え直せ!」

国王の声が、石壁に響き渡る。

だがクラウディオ殿下は、微動だにしない。

その瞳は真っ直ぐに父王を見据えていた。

「父上もお気づきのはずです。この国に必要なのは、民の心を掴み、行動で導ける者……カイルこそが、その資質を持っていると。」

「兄上……」

カイルが苦悩の面持ちで前に進み出た。

「兄上、それでも俺は……」

「いいんだ、カイル。」

クラウディオ殿下は優しく微笑んだ。
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