「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
「俺はもう十分、やった。形式だけの皇太子で、何一つ思うように動けなかった。でもおまえなら、剣を持ち、民とともに歩ける。ティアナも、おまえを信じている。王も民も、皆そうだ。」

「……兄上、俺には……」

「あるさ。おまえには、隣にセレナ嬢もいる。愛する者を守る力がある人間は、王に最も近い。」

クラウディオの言葉に、私は息を呑んだ。

兄の真の愛情と、カイルを導こうとする覚悟がそこにはあった。

国王は、重く深いため息をついた。

「……分かった。おまえの意志、確かに受け取った。」

その瞬間、静寂が流れた。

「だがな、クラウディオ──」

国王の声は、静かでいて力強かった。

その一言で、大広間の空気が再び張りつめる。

「この父は、おまえを“形式だけの皇太子”だと思ったことはないぞ。」

ゆっくりと立ち上がった王は、玉座から降りると、クラウディオの前に歩み寄った。
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