「妃に相応しくない」と言われた私が、第2皇子に溺愛されています
「するさ。娘を皇太子に預けるんだからな……大切にされなかったら、その時は私が連れ戻すぞ。」

「ふふ……安心して。カイルは、誰よりも私を大切にしてくれる人だから。」

一歩、また一歩。

真っ直ぐな視線を向けてくるカイルのもとへと、私は進んでいく。

カイルは、私のウェディングドレス姿を、まるで宝物を見るようにじっと見つめていた。

その目尻が、ほんの少し潤んでいる。

――私も、こらえるのが精一杯だった。

やがてカイルの目の前に辿り着き、父が私の手を彼へと託す。

「カイル殿下。……娘を、頼みます。」

カイルはまっすぐに父の目を見て、深く頷いた。

「お任せください。命に代えても、セレナを幸せにします。」

そして、私の手をそっと取ってくれる。

その温もりが、心をじんわりと満たしていく。

「では――結婚の宣誓です。」

神官の声が、堂内に響いた。

カイルと私は、互いの目を見つめ合いながら、神前に誓いの言葉を口にする。
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