√スターダストtoらぶ
それからわたしたちはいろんなことを話しながらボロいアパートに着くまでの道のりを亀の歩みで進んだ。

辻堂くんは書道部で、好きな四字熟語は日進月歩だって教えてくれた。

小学生の妹が反抗期で挨拶しても無視されるって嘆いていたから、気休めになるかもしれないとわたしなんて一生親に反抗してるなんて言ったら笑ってくれた。

妹さんの好きなものをさりげなくリサーチしたらってアドバイスしたら明日にでも実践するって言ってくれた。

妹さんへの誕生日プレゼントを一緒に買いに行こうって約束も出来た。

わたしの身の上話はこんな素直で真面目な初な男の子に話すのは刺激が強すぎて失神させてしまうかもしれないと思ってなんとなく遠ざけた。

その代わり今どきの女の子が好きであろうものを教えてあげた。

もっと妹さんと仲良くしてほしいしね。

ビー玉のような透き通った瞳でわたしを見つめて真剣に話を聞いてくれて、わたしはただただ嬉しかった。

オタクの話でもなく、

本当に普通っぽい話題で

純粋な男の子と普通の会話が出来て、

胸がいっぱいになった。


だからちょっぴり別れが寂しかった。

ボロいアパートへと繋がる一本道の前でわたしは立ち止まった。


「ここまでで大丈夫」

「分かった。それじゃあ、また…」


また…か。

連絡先は知ってるからいつでも連絡は取れるとしても。

でも、

先の未来をわたしは待っていたい。

そんな気がして、

わたしは飛び出してしまった。


「あの…夏休み終わる前にまた…また一緒に遊んで。いや、遊ぶ前に宿題終わってないかもしれないから、その時はわたしの勉強見てほしい。…だめ、かな?」


辻堂くんは首が取れそうなくらい首をぶんぶん振った。


「ダメなわけないです。じゃあ、また夏休みが終わる頃に僕かららぶさんを誘います」

「えっ?」

「あ…」


しまった…と苦虫を噛み潰したように顔をしかめつつ紅潮させる辻堂くん。

そんなところも可愛い。

推せる。


「ありがとう、名前呼んでくれて。じゃあ、わたしも。またね、朝雪くん」

「うん。また」


朝雪くんが背を向ける。

その背中が見えなくなるまでわたしはずっと見つめていた。

…始まった。

今日絶対何かが始まった。

わたしに今まで襲いかかってきた不幸を吹き飛ばす優しい風が吹いて来た。

今日もまたクズに出会ってしまったわけだけど、

若干の残像に胸がウッてなるけど、

そんなの振り払える。

信じられる。

夏休みが終わるのは切ないけど、

それが楽しみに思える約束が出来た。

久しぶりに未来が、

学校生活が、

楽しみに思える。

朝雪くん、

ありがとう。

そして、

これからもよろしく。


ふと見上げると、花火より美しい星屑に彩られた夜空が目の前に広がっていた。

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