√スターダストtoらぶ
病院に搬送されたものの二人とも擦り傷で済んだ。

彼女の親には連絡がつかなかったらしく、俺は免許持ちの共通の知人ということでまた尚悟を呼び出した。

毎度毎度ぱしりをしてもらってるから、給料が入ったら何かご馳走しなければ。


「あの…」


なんて思っていると2席分ほど隣に座っていた彼女の声がした。

時刻は20時を回り、外来患者もおらず二人きり。

沈黙を破るように彼女が話し出す。


「さっきはすみませんでした。お店を勝手に飛び出したり、赤なのに横断歩道に突っ込んでいったり。本当に…ごめんなさい」


彼女の涙ぐむ声に鼻の奥がツンとする。


「謝るのは俺の方。…ごめん。俺のせいで推し活台無しにしちゃって」


こんな風に謝るのは一体いつぶりだろう。

何があったって悪いのは全部女の方だって

自業自得だって

そう思っていたのに。

本当になぜか

なぜかこの子だけは

それではダメだって思う。

…初めてだ。

傷つけたくないなんて

こんなにも大事にしなきゃって

そう思うのは

初めてだ。


「いえ、別に。あなたのせいじゃ…」


首を真横に振る彼女に俺は続ける。


「…俺のこと嫌いだよね?」

「え?」

「そういう顔してる」

「嫌いっていうかなんていうか…」

「やっぱ嫌いじゃん。でも、仕方ない。俺、嫌われるようなことしかしてきてないから。お嬢さんの知ってるところも知らないところでもそういうことしかしてきてない」


…クズ。

人間のクズ。

俺は生きていてもなんの価値もない。

そんな人間。

自分の虚無感を

孤独感を

寂しさを

埋めるために

探して

捜して

触れて

傷つけて。

それでも見つけられなくて

どうにもしょうがなくて

自暴自棄になって

人生を捨てた。

そんな気になっていたから。


< 34 / 84 >

この作品をシェア

pagetop