√スターダストtoらぶ
「行かないでよ」


声が聞こえた。

冷や汗が背中を一筋流れる。

わたしは行くしかない。

帰るんだ。

これ以上ここにいたら何をされるか分からない。

だから…

だから…

って思っても

身体が凍ったように動かない。

さっきまでなんということもなく動いていたのに

動かない。

こんな時に思い出す。

あのトラウマを。

あの時も言われた。

行かないで。

そばにいて。

おれには君だけなんだって。

嫌だって言った。

何度も言った。

それでも抵抗しきれなくて。

半ば犯罪行為をされた。

今でも忘れられない傷。

蘇ると途端に動けなくなる。

…どうしよう。

どうしよう。

わたし、

どうしたら…。


ふっと意識が遠退く。

力なく倒れる。

…はずだったのに。


「えっ…」

「ったぁ…。お嬢さん、怪我ない?」


わたしを庇うように下敷きになった愁真さんが言う。

また…助けられてしまった。

近づくのが

触れられるのが

怖いのに

求めてしまう。

願ってしまう。

そんな思いが心のどこかにあって、

膨らむと制御出来なくなる。

もっと、って思ってしまう。

この血に流れる運命なら

そんなの抗えるはずもなく、

わたしは自らの腕で

抱きしめてしまった。


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