√スターダストtoらぶ
「…すみません。お待たせしました」


彼女が駆け寄って来る。

今来たら危険だ。

目配せするも、彼女の視界に俺は映っていない。


「スマホに連絡先登録させていただきました。今後ともご愛顧のほどよろしくお願いしますね」

「えっ、あっ、ありがとう!後で連絡するね、じゃ」


男は何事もなかったかのようにおとなしく去っていった。

俺は唖然としてしまった。

てか、大丈夫か?

あんなに易々と連絡先登録して…。


「あの、大丈夫ですか?この世の終わりみたいな顔してますけど」


彼女が俺の顔を覗き込んでくる。

胸がキュウっとなったが気のせいということにして平然を装う。


「簡単に連絡先交換とか。明らかにアイツ怪しいだろ…」

「…まだまだですね」


えっ?

彼女は笑っていた。

俺の前ではいつも不機嫌そうな彼女が目尻を下げて歯を見せて笑った…。


「あれこの店のスマホです。連絡先いただいたので掛けてきても店長が出るので大丈夫です。ちなみに防犯カメラ複数台に完璧に毎日映り込んでますし、何かあればストーカーとして店に来た時に現行犯逮捕することも出来ますから、心配しないでください」

「はは、そっか…」

「カッコつけようとし過ぎです。あと感情的になり過ぎ。冷静になって考えればそれくらい分かりますよ。わたしより1年長く生きてるんですし」


論破されたらもう何も言えない。

俺の行動は全部無意味だったってことか。

守ろうとしたのに逆に守られるなんて、

カッコ悪いな、ほんと。


「でも、お店の外で何かあるかもしれないのでその時は、その…」

「守るよ。ちゃんと守る。情けないかもしれないし、まだ完全に信じてもらえてないかもしれないけど、俺キミには嘘つかないって決めてるから」


そう言うと彼女は少し口を尖らせた。


「なんか…わたしが言わせたみたいになってますね」


手うちわで必死に煽いでいる。

…あぁ、これ、ダメなやつ。

言いたくなるが我慢する。


「なんですか?ジロジロ見ないでください」

「ごめん。でも、かわ…」


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