√スターダストtoらぶ
返事が遅くなるとしつこくメッセージを送りつけてくるやつもいるから、仕方なく家までの道のりで嫌なことは片付けようとスマホを取り出す。


“明日会える?”

“今度こそ、いいよね?”


白いネコのアイコン。

確か…3組の森川か。

常連だからさすがに覚えている。

一度だって手を出したことないんだから、いい加減諦めればいいのに、さぁ。

…しつこ。

面倒な遊びは嫌いだ。

無視を決め込んだって別に構わない。

どうせ森川も俺と寝たっていう事実が欲しいだけなのだから。

実際それも違うのだけれど。

どんな関係だっていい。

俺の傍にいられれば名誉が保たれる。

あの腐った学校で俺はブランド品みたいなもんだから。

俺に構ってもらっていられるなら価値がある。

きっと誰もがそう信じてる。


“明日は無理”

“先客がいる”


と送るとすぐに既読がついて次はいつ暇かと聞かれた。

ったく、めんど。

スケジュールを確認する。

夏休み中はほぼ毎日なんらかのバイトが入ってる。

イベント警備に引っ越し屋のバイト、コンカフェの接客…。

暇なんてねぇっての。

暇な日を作ったら、さ

…追いつかれるんだよ。

何不自由なく生きて来たやつらには到底分かりっこない。

暗くて深い闇に突き落とされる恐怖を。


“当分無理。バイト”


分かったとスタンプが来て一応やり取りは終わったけどきっと森川は諦めない。

何度だって触れようとする。

俺は触れられないように分厚い鎧を纏い、

戦場に赴く。

そんなことの繰り返しだ。
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