√スターダストtoらぶ
ーーガチャ。


鍵を開けて中に入る。

いつだって俺を待つ灯りはない。

真っ暗闇を手探りで歩き続け、自室に繋がるドアノブに手をかけた。

はぁ…。

やっと帰ってきた。

やっと…息ができる。

今日は男友達(といっても心を許してるやつなんて1人もいないが)と遊んで疲れたから立っていられなくなり、俺はベッドに倒れ込んだ。

あぁ、うぜぇ…。

一昨日初めて招いたあの香水臭い女の匂いがまだ残ってる。

俺の記憶が正しければ水木(クラスメイトの男子その1)の幼なじみの女子だったな。

あっちから押し倒してきて、

目が合って、

あぁ、面倒だなって思って、

俺は目を逸らして、

数分放置プレイを決め込んだ。

結局彼女は俺の頬を思いっきりビンタし、捨て台詞を吐いて出て行った。

俺の塩対応が気に食わなかったのだろう。


“最低クズ野郎!”


…はは。

笑える。

そうですか。

そう思うんならそう思ってくれても構わない。

実際その通りだろうし。

それに彼女は他校の生徒だ。

もう関わることなどないから、

これで終わり、だ。


「あっちぃ…」


エアコンのリモコンは生憎勉強机の上。

なら、いいわ。

このまま、寝よ。

…せめて、

せめて夢の中だけでも、

深い呼吸がしたい。

こんな生き方は

もう…

うんざりだ。



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