騎士として生きてきた私が、皇子の甘い言葉に落ちるはずがないのに
信じたくなかった。

あんなに愛してるって言ってくれたのに。

私の中にある命を、彼は“厄介なもの”として見ていた。

涙が止まらなかった。

この胸に宿った想いが、全部――裏切りだったと知ってしまったから。

レオンは、任務で遠くの辺境地へと発った。

それは生きて帰れるかどうかも分からない過酷な前線。

「ごめん、結婚できない」

あの時の言葉が、頭から離れなかった。

けれど今は、こう思うようにしている。

あれは、私を守るためだったのかもしれないと。

本当にそうだったかなんて、もう分からないけれど。

――ただ、私はひとりで決めた。

命を、諦めるという選択を。

薬を飲んだあの夜。

「ううっ……」

胸をかきむしり、身体を丸めて泣いた。

命が、私の中から流れていく。

私が、失ったもの。誰にも知られないまま消えたもの。

その痛みと共に、私は誓った。

「もう、恋なんてしない。」
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