騎士として生きてきた私が、皇子の甘い言葉に落ちるはずがないのに
騎士はただ、国を守る剣になればいい。

感情に振り回されてはいけない。

女であることを、恋をすることを、弱さにしてはならない。

それが、私の誓いになった。

一週間ぶりの騎士団。

冷たい風が肌に心地よく、剣の重みが妙に懐かしかった。

「セイラ!」

騎士仲間のブレンが駆け寄ってきた。

彼は、数少ない“あの出来事”を知っている友人だった。

「もう、大丈夫なのか?」

心配そうなその声に、私は微笑んで頷いた。

「うん。体も心も、もう大丈夫。戻ってこられて良かった。」

ブレンは少し口ごもってから、言葉を続けた。

「……あのさ、レオンのことだけど。あいつ、お前の人生を――」

「いいの。」

私は彼の言葉を遮り、にっこりと笑った。

「全部、自分で決めたから。私は――一人の騎士として、生きていく。」

それ以上、ブレンは何も言わず、私の背中をポンと叩いた。

「……おかえり、セイラ。」
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