甘い独占欲と溺愛で、もう絶対離さない。


そんな千紘くんのつぶやきのあと。


「まもなく、借り物競争が始まります。
出場する選手は、──に集まってください」


という放送が、かすかに聞こえた。


「ち、千紘くんっ」

「……ん?」

「今、借り物の競争の放送……」


そう言うと、千紘くんは残念そうな顔をして、私から一歩離れた。


「……行くわ」

「うん」

「あと、止まれなくて、ごめん」

「……それは、大丈夫……」


ちょっとだけ恥ずかしくなって、そっぽを向いた。


「いやじゃ、なかったから……」

「……っ」


千紘くんは、その一歩をもう一度埋めてきて。

私を優しく抱きしめた。


「言ったからね」

「……っへ」


耳元で言われて、体がびくっと反応してしまう。

でも、千紘くんはすぐに私を離して。


「じゃ、頑張ってくる」

「……うん」

「俺だけ見ててね」

「……っ、うん」


……たぶん、千紘くんしか見えない。

どうしよう、なんか恥ずかしくなってきた。


< 100 / 213 >

この作品をシェア

pagetop