甘い独占欲と溺愛で、もう絶対離さない。
そんな千紘くんのつぶやきのあと。
「まもなく、借り物競争が始まります。
出場する選手は、──に集まってください」
という放送が、かすかに聞こえた。
「ち、千紘くんっ」
「……ん?」
「今、借り物の競争の放送……」
そう言うと、千紘くんは残念そうな顔をして、私から一歩離れた。
「……行くわ」
「うん」
「あと、止まれなくて、ごめん」
「……それは、大丈夫……」
ちょっとだけ恥ずかしくなって、そっぽを向いた。
「いやじゃ、なかったから……」
「……っ」
千紘くんは、その一歩をもう一度埋めてきて。
私を優しく抱きしめた。
「言ったからね」
「……っへ」
耳元で言われて、体がびくっと反応してしまう。
でも、千紘くんはすぐに私を離して。
「じゃ、頑張ってくる」
「……うん」
「俺だけ見ててね」
「……っ、うん」
……たぶん、千紘くんしか見えない。
どうしよう、なんか恥ずかしくなってきた。