甘い独占欲と溺愛で、もう絶対離さない。


そして、そのままの勢いのまま、第二走の加納くんにバトンが渡った。

加納くんも、ずんずんと差をつけて走っていく。


羽衣の方を見てみると、ぼうっと加納くんのことを見ていた。

……相変わらずゾッコンだな、羽衣も。
その頬は、やっぱり赤い。


それからも、白組はほかの組よりも圧倒的な差を見せつけながら走っていく。


第五走である私のもとにバトンが渡るときには、すでに半周以上の差がついていた。


「……椎葉さんっ!」

「任せて!」


走るのは、トラック一周分。

四走目だった二組の女の子からバトンを受け取った。


風を切って、私は走り出す。

走るのは好きだ。だって気持ちがいいから。
小さいときから、走るのだけは得意だった。


「椎葉さん速……!?」

「あの子すごくない……!?」


走っているときは、周りの音なんて聞こえなくなる。

だから、そんな嬉しい言葉にも、気が付かなかった。


私がバトンを渡す相手は、千紘くん。
千紘くんはアンカーだ。


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