甘い独占欲と溺愛で、もう絶対離さない。


なんで、そんなこと。

立つこともできずに、そこに座り込むことしかできない。
まだバトンパスまでは、トラックの四分の一はある。


……どうしよう。どうしたらいい?


「ええ、そんな……」

「あんなに白組、頑張ってたのに……」


周囲からの落胆の声まで耳に届いてきた。

……本当だよね。
こんなところで私、なにしてるんだろう。

立つことすらできないなんて、情けない……っ。


目に涙が溜まってきて、一粒だけ零れてしまった。


「……ゆあっ!!」

「千紘、くん……っ」


そのとき、バトンパスの位置から、私の名前を呼ぶ声がした。安心する声で、心のどこかで求めていた声。


……千紘くんの、声だ。

千紘くんは走って、私のところに来てくれて。


「どーしたの、ゆあ」


と、優しく私に声をかけてくれる。

安心して、また一粒涙があふれてきた。


「転んで足、痛くて、立てない……っ」


私のせいでごめんなさい。
……どうしてこうも、最後で私は……。


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