甘い独占欲と溺愛で、もう絶対離さない。


やばい、と本能が察して。

何やってるの私、こんな状況で余計に反感を買うこと言って……っ。


「あんたじゃ瀬良くんにつり合わないからだよ」

「……っ」

「さすがに調子乗りすぎなんじゃない?
体育祭のとき、いい気になった?瀬良くんは、困ってる人を放っとけないんだよ」


……分かってる。


「だから、転んだあんたを助けたんでしょ。
それに、借り物競走のとき?『世話焼きな人』とか、遠回しにバカにされてんじゃん」


……分かってるよ、私じゃつり合わないことも。


「それに、昨日も言ったよね。
完璧な瀬良くんの彼女になるのは、この私だって」

「実咲、頭いいもんねー!」

「ちょーかわいいし!」


でも、でも。


「瀬良くんも迷惑してるんじゃない?」


千紘くんは……っ。


「千紘くんは、そんな人じゃない……っ!」


自分から、思ったよりも大きな声が出て、自分でびっくりしてしまった。


< 154 / 182 >

この作品をシェア

pagetop