甘い独占欲と溺愛で、もう絶対離さない。
それなのに、私が千紘くんに近づいちゃったから。
表立ってじゃなくて、みんなに見えないところで。
そりゃ、怒って当然だ。
それに、吉村さんのさっきの言葉を聞いてたら分かる。
『私はこんなに頑張って、瀬良くんに振り向いてもらおうとしてるのに……!
なんであんただけ、そんな特権があるわけ!?』
吉村さんはきっと、千紘くんに振り向いてもらうために。
振り向いてもらうためだけに。
メイクもおしゃれも、仕草だってきっと、たくさん研究して頑張っているのだろう。
それに対して私は、吉村さんと同じ〝好き〟を持っているのに、何を頑張っているといえるのかな。
ううん、同じではないか。
好きは誰かと比べるものじゃないから。
料理?
ううん、それは千紘くんに近づくための手段のひとつで、頑張っているとは言えない。
私は、何もせずに千紘くんに振り向いてもらおうとしているのだろうか。