甘い独占欲と溺愛で、もう絶対離さない。


私の家に……?
そっか、もうそんな時間か。


「ありがとう……」


涙でカラカラの声でつぶやく。

千紘くんはん、と一言だけ言って、私の頭を優しくなでてくれた。


「ゆあは?」

「……」

「なんでこんなとこにいんの?」

「や、えっと……」


閉じ込められた、なんて言えないし……。

だって、そんなこと言ったら、千紘くんは優しいから吉村さんに注意してくれるに違いない。

でも、吉村さんが悪いわけじゃないから。


「だってゆあ、泣いてるだろ」

「……泣いて、ない」

「その声で?」


千紘くんの笑い声が聞こえる。

こんなときだけ優しい声色なんて、ずるい。


「誰かにやられた?」

「……ちがう」

「じゃあ、なんで泣いてんの?」

「それ、は」


ダメだ、マシな嘘、思いつかない。


「……優しいな、ゆあは」

「千紘くんだよ、それは」

「なんで?」

「だって普通、こんなところまで来ないもん」


< 163 / 213 >

この作品をシェア

pagetop