甘い独占欲と溺愛で、もう絶対離さない。


「……戻ってきた」

「逆に戻ってこないと思ったの?」

「ちょっとだけ」

「俺のことなんだと思ってるんだよ……」


はい、と千紘くんに水を渡されて、それをゆっくりと飲む。


「……水ってこんなおいしかったっけ」

「ずっと飲んでなかったからでしょ」


いや、それはそうなんだけど。

おいしいよねって言ってよ。なんか悲しくなるじゃん。


「多分もう大丈夫」

「ん、帰れる?」

「うんっ、帰ろ!」


今度はちゃんとゆっくりと立ち上がる。
大丈夫だ、もうふらつかない。

二人で並んで屋上を出た。


「あっ、そうだ。
かばん教室に置いてきちゃったから、取りに行ってもいい?」

「開いてるかな」

「まだ完全下校の時間じゃないし、開いてるんじゃない?」


……多分。

お願いだから、これ以上ハプニングは起こらないでほしい。


そんな私の願いは叶って、教室はちゃんと開いていた。


< 166 / 213 >

この作品をシェア

pagetop