甘い独占欲と溺愛で、もう絶対離さない。
ふふっ、と悪意のこもった笑い声が遠くに聞こえる。
一体、何が起きて……。
「ゆあ……!」
理解が追い付かないでいると、気がついたら私は、誰かの腕の中にいた。
驚いて目を開けると、すぐそばに千紘くんの姿が。
「千紘くん……?なんで……」
「っぶねえ。
階段から突き飛ばされたってのに、なんでそんな平気な顔してんだよ」
「えっ、突き飛ばされたの……?」
「……分かってなかったのかよ」
「り、理解が追い付かなくて……」
そっか、突き飛ばされたのか……。
だから体が宙に浮いた感覚がしたんだ。
「せ、瀬良、くん……?」
上の方の踊り場で、震えたような吉村さんの声が聞こえた。
思わず振り返ると、吉村さんは顔を真っ青にして震えていて。
「な、んで……」
吉村さんの声なんかお構いなし、とでも言うように、千紘くんは私を立たせると、そのまま両腕でぎゅっと抱きしめた。