甘い独占欲と溺愛で、もう絶対離さない。


「簡単だよ。
ただ、そっちのほうが生きやすいから」

「……生きやすい?」

「そう。
人との関係も良好になるし」


人間関係はよくなるかもしれないけど、でも、千紘くんは……?

本当の千紘くんは、だれが見てくれるの?

そんな私の考えを読み取ったかのように、千紘くんはふっと笑った。


「大丈夫だよ」

「……」

「本当の俺は、ゆあだけが知ってくれてたらいい」

「私だけだったら、寂しいよ」

「俺は、ゆあがいてくれたらそれでいいんだよ」


そんなこといわれたら、嬉しくなっちゃう。

寂しさと喜びが入り混じって、なんだか複雑な気持ちになった。


「……それと」

「……ん?」

「初恋の人のこと、忘れたくなくて」

「……初恋?」


そう、と千紘くんはうなずく。

その瞬間、胸の奥がちくりと痛んだ。


初恋。
そうだよね、千紘くんにだって、その相手はいるんだ。

この瞬間、私の想いは報われないと言われた気がして、少しだけ苦しくなった。


< 197 / 213 >

この作品をシェア

pagetop