甘い独占欲と溺愛で、もう絶対離さない。
「よかった」
そう言って彼は、この会話の中で、いちばん優しくて爽やかな笑顔を私に向けた。
……きゅん。
と、胸が少しだけ高鳴った。
「えっ、あ、ありがとう……」
「うん。じゃあ、また」
そう言いながら軽く手をあげて、今度こそ彼は歩いて行ってしまった。
どうしよう。今、うまくあの人の顔見れなかった。
まだ、心臓がドキドキしてる。顔も、ちょっとだけ熱い……?
……なにこれ。
なんだか、自分が自分じゃないみたい。
去って行った彼の後ろ姿を、見えなくなるまでなんとなく見つめる。
それからぼうっと呆けていると、どこからかチャイムの音が聞こえてきた。
「……やばっ」
あわてて教室に入ったものの、室内はしいんと静まり返っていて。
結局注目を浴びる羽目になったのは、言うまでもないだろう。