甘い独占欲と溺愛で、もう絶対離さない。


***


「珍しいね、ゆあが遅刻してくるなんて」


無事に入学式が終わり、教室に再び戻ってきた私たち。

さっきの出来事の印象が強すぎて、先生の話なんて一切頭に入らなかったけど。

でもでも、まさかの新入生代表挨拶をさっきの彼がしていたの。

話に耳を傾けようとしたんだけど、彼との会話と笑顔が鮮明に思い出されて、なぜかあたふたしちゃって、結局聞けなかった。

……こんなスタートでいいのか悪いのか。


「目覚まし早めにかけたんだけど、三十分寝坊しちゃって」

「へえー。ゆあでも寝坊するんだ」

「ね、私も初めてでびっくり」

「本当めっちゃ注目浴びてたよね」


そう言って羽衣(うい)は口に手を当てて笑った。

羽衣は中学時代からの親友で、おしとやかでかわいらしい女の子。
六クラスあるこの高校で、奇跡的にまた同じクラスになったのだ。


「う……っ、言わないでよそれ……」

「だってゆあ、すごい恥ずかしそうにしてたじゃん」

「な、そりゃ恥ずかしいに決まってるでしょ……!
あんな大勢の前で……!」


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