甘い独占欲と溺愛で、もう絶対離さない。


羽衣いわく、私はすごく恥ずかしそうにしながら、教室に入ってきたらしい。

自覚はなかったんだけど……。


「ゆあ以外の全員が来てて、まだよかったんじゃない?
ぽつんと一つだけ席が空いてるから、黒板の前まで座席表見なくてすんだよ」

「運がいいのか悪いのか……」


分かると思うけど、こう見えて羽衣は結構意地悪。

からかい上手というか、でもそこがギャップでいいと思う。

小さく頬をふくらませながら、笑っている羽衣を横目で見る。


「まあ、いいんじゃない?そういう日もあるよ」

「今日じゃなかったら、もうなんでもよかったんだけど」

「初日だもんね」

「うっ、だから言わないでって」


どれだけ意地悪なんだ、羽衣は……。

美少女のくせに、この小悪魔め……!


「そういえば、最近加納(かのう)くんとどうなの?」

「えっ、(みなと)と?なにもないよ」

「えーっ、嘘だあ。春休みにデートでも行ったんでしょー」

「う、そ、それは行ったけど……」


ほらね、やっぱり。


< 8 / 150 >

この作品をシェア

pagetop