甘い記憶を溶かしたら
「いらっしゃいませ〜」

 クーラーのよく効いたコンビニに入り迷わずドリンクコーナーへ足を運ぶ。好きな銘柄のビールをまず一本、今日はなんだか爽やかな物を飲みたい気分だ。喉奥だけじゃなく、心もなんだかスカッとさせたい。悶々思う気持ちをスッキリさっぱり流し込めるような……そんな思いでケース内の酎ハイを吟味して、手にしたのは【零イチ檸檬~しっかり酸っぱくて、喉越しはキリッと辛口!~】そんな謳い文句は心くすぐられた。

 今日の私にはこれくらいがちょうどいい。無駄に気取らず的確なネーミングは私によく似合ってる。
 
 あとは目につくつまみを適当に見繕ってレジに直行。バイトっぽい若い男の子がレジをしてくれる。カゴの中身を取り出しつつチラッとたまに顔を見られた。きっと一人飲みがバレただろう。

 でもそれくらいはもう慣れた。それくらい慣れてないと世の中やっていけないもんだ。でもこれが知り合いとかもしくは気になってる異性とかなら少し、いや結構恥ずかしいと思ってる、多分。

 コンビニ袋をぶら下げて夜風を感じながら歩く帰り道、冷蔵庫の中にあれがあったな、帰ったらまず溜まってる洗濯を回してしまおう。先週見れていないドラマを見て……あ、宅配再送手続きまだ出来てないや。そんなことを考えながら家路についた。

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