シンユウノススメ
「ムギさん、昼食のご用意が整いました」

コン、コンと優しい音色のノックがよく聴こえたなぁってぼんやりする頭で考えながら、眠りから覚めた。

「あれ、今何時?」

「十二時を少し過ぎたところですよ。もう少し早くお声をお掛けしようと思ったのですが、よく眠ってらしたので」

ノックをしたのはこの人だって、誰が聴いても一致しそうな優しい音色の声。
ムギのママもこんな風にムギに語りかけてくれていたのだろうか。

「そっかぁ。ありがと」

「皆様のこともお呼びいたしましょうか?」

「ムギが呼ぶ。テーブルのセッティング、お願いできる?」

「ええ、もちろん。いつでもいらしてください」

「ありがとう」

少しだけ仮眠するつもりが一時間は眠っていたらしい。
自宅から別荘までの移動でムギが疲れていたみたいなのに、お手伝いさん達は平気なのだろうかと思った。

駿河さんの準備があらかた済んでいるのなら、昼食後にお手伝いさん達にも少し休んでもらおう。
ムギ達が勝手に遊べることなら沢山あるんだし。
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