シンユウノススメ
「でもほんと、凄いな」

「別荘のこと?」

「違うよ。香乃のこと。芽衣子に対する執着心だよ」

「ごめんね。菊地くんにいつも嫌な思いさせて」

「俺は平気だけど。芽衣子のほうがしんどいだろ」

「正直、時々怖くなるよ。これじゃあまるでストーカーじゃんって思うし。でも言えないから…」

「ま、あと一年ちょっとで解放されるしな。高校は別のとこ行くんだろ?」

「当たり前じゃん!絶対にそうする。ほら…麦ちゃんって成績は普通だから。絶対に成績の評価が必須で、麦ちゃんが入学できないところに行くの」

「芽衣子も大変だろうけど。このままエスカレーターで進めば受験はラクだしさ」

「それしか無いんだよ!だってはっきり″もう付き纏わないで″って言うの?そしたら…色々全部壊れちゃう。高校が別々になったら自ずと時間も合わなくなってくるじゃん。自然消滅…みたいな。それが一番平和的解決なんだよ」

「応援するよ。俺はずっとそばで芽衣子を支えるから」

「ありがとう。安心する…」
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