シンユウノススメ
「芽衣子にとってはちょっと想定外だったなぁ。この先うまくいけば勝ちだろうけど」

「うん。まさかここまで執着されるとは思わなかった。ほんとストレスだよ…。でもこうするしか無かったから。頑張んないと…」

「時々思うんだけどさ…ほら、前に話してくれた、香乃を助けた時のこと。あのまま助けなかったら芽衣子もラクだったのかな」

「それはないと思う。あの時麦ちゃんを助けなかったら私の暮らしも救われなかった。あの日…麦ちゃんを助けるきっかけになった、あの場所に居たことは運命だったんだよ」

「ゴミ捨ての時だっけ?ほんと、すごい偶然だったよな」

「うん。その日は放課後の掃除当番で、最後に教室のゴミを集めて捨てに行ってたの。そしたら麦ちゃんをいじめてた中心の三人が居てね」

「それで話聞いちゃったんだ」

「私、その時まで正直なんで麦ちゃんがいじめられてるのか分かんなかった。六年生になるまで同じクラスになったことが無かったし、でも当然廊下で見かけたことはあって。顔も可愛くて明るそうな子だったのに、五年生の時によっぽどクラスでなんかあったんだろうなって」

「マジで香乃の家が金持ちだからってだけなの?」

「男子にも人気があったしね。持ってる物もやっぱり周りの子に比べて素敵だったし、小学生の女子にとっては僻む以外の方法なんて無かったんだと思う。自分達よりも恵まれてる子がどんどん惨めになっていくのって…快感なんだろうね」
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