もう一度、君と恋をするために
その日の帰りは、偶然悠一と一緒になった。

「お疲れ様。」

「お疲れ様です。」

短いやり取りだけ交わして、私たちは並んでエレベーターに乗る。

無言のまま、静かに下のロビーへと降りていく。

昔は、こうして一緒に帰る時間が何より好きだった。

今日の仕事の話、美味しかったランチのこと、週末の予定──

どんな些細なことも話して、笑って、肩を並べていた。

けれど今は、何を話していいか分からない。

沈黙が重たくも、懐かしくも感じる。

途中階でドアが開き、数人が乗り込んできた。

無意識に私は悠一の方へと体を寄せる。

人混みの中、彼の腕がすぐ横にあって、袖がほんの少しだけ触れ合った。

エレベーターが再び動き出すと、静まり返った空間に、悠一の息遣いがふっと聞こえてくる。

その音だけで、胸がぎゅっと締めつけられた。

今も、こんなにも近くにいるのに。

たった一歩、踏み出せば届く距離なのに。

言葉は遠く、心はまだ戻れない。

私は静かに目を伏せた。

この沈黙が、どうしようもなく切なかった。
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