もう一度、君と恋をするために
翌朝、出社しても、胸の鼓動は昨日のままだった。

――悠一。

あの時、どうして私を守ってくれたの?

あの肩に、あの仕草に、どれだけの意味が込められていたの?

わかるはずもないのに、心は答えを求めてしまう。

ふと視線を上げると、悠一が笑っていた。

その隣には、美波ちゃん。

何やら親しげに話している。

きっとプロジェクトの進行について相談しているのだろう。

そう思って近づいた、ほんの数歩先。

「ホラー映画好きなんですか? 意外ですね。恋愛もの好きだと思ってました。」

美波ちゃんの明るい声が聞こえる。

「恋愛映画も好きですよ。今度、一緒に行きますか?」

……え?

足が止まった。

なんてことない会話。
同僚同士の、軽い雑談の延長。

わかってる。わかってるのに――心がざわついた。

昨日の“あの優しさ”が、私だけに向けられたものじゃなかったのかもしれない。

そう思った途端、胸の高鳴りは、痛みに変わった。

私はそっと踵を返して、自分のデスクへと戻った。

目の前の書類に視線を落とす。

けれど、そこに書かれた文字はまるで頭に入ってこなかった。
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