もう一度、君と恋をするために
悠一が自分のデスクに戻ってきた。

なぜか言葉が口をついて出た。

「……美波ちゃんと、映画行くの?」

何気なく尋ねたつもりだった。でも、声がほんの少しだけ上ずった。

悠一は軽くうなずいた。

「そうだね。」

その一言だけで、胸がざわつく。

悠一が、他の女と映画に行く――

いや、そんな曖昧な言い方じゃない。

悠一が、私の知っている“美波ちゃん”と、デートのようなことをする。

それが嫌でたまらなかった。

でも、もう別れて3か月。

悠一にだって、新しい人を探す権利がある。

私たちは“終わった”はずなのだから。

なのに、心がぐらぐらと揺れている。

「……嫌なら、行かないよ。」

悠一の低い声が、不意に耳に落ちた。

思わず顔を上げた。

「真白が嫌なら、映画、断るよ。」

え……。

言葉が出ない。

胸の奥がじんわりと熱くなる。

ああ、やっぱり私、まだこの人が好きなんだ。

気づけば、私は小さく“うん”と頷いていた。

自分の器が小さいんじゃないか。

未練がましいんじゃないか。

それでも――どうしても、他の人と行ってほしくなかった。
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