もう一度、君と恋をするために

第三章 揺らぐ未来と、新しい風

ある日、経理部の三浦君が声をかけてきた。

「桐谷さんもどう? 一緒にランチ。」

「え、私?……でも、お弁当が……」

手に持っていたランチバッグを見せると、彼はにっこり笑った。

「ね、たまには外で食べようよ。気分転換、大事。」

その笑顔につられて、私は「じゃあ……」と頷いていた。

連れて行かれたのは、会社の近くにある蕎麦屋さん。

落ち着いた雰囲気で、隠れ家のような小さな店。

「何食べる?」

「ざるそばがいいなぁ。」

そう答えると、三浦君は「じゃあ、俺はてんぷらも」と言って注文し、やがて私の方に、てんぷらの皿をそっと寄せた。

「食べて食べて。全部は多いから、よかったら。」

「え……」

わざわざ、私のために?

その気遣いが嬉しくて、同時に少しだけ戸惑った。

「気にしないで。今日は俺のご馳走だから。」

「……ありがとうございます。」

自然で、やさしくて。

心が少し、ふわっと軽くなった気がした。
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