もう一度、君と恋をするために
「おはよう。」

私は笑顔を返し、パソコンの電源を入れる。

隣では悠一が同じように「おはよう」と言った。

すると、美波ちゃんがふと不思議そうな顔で言った。

「桐谷さんと日向さんって、不思議ですね。」

「えっ?」

思わず聞き返すと、美波ちゃんは首をかしげながら笑った。

「一時期、あんなに仲良かったのに。最近ちょっと静かというか……倦怠期ですか?」

「いやいや……」

私と悠一は、思わず顔を見合わせた。

そして、同時に笑ってごまかす。

まるでコントみたいな反応。でもそれ以上、何も言えなかった。

倦怠期どころか、もうとっくに終わってるんだけど──。

「そんなに仲いいのなら、付き合っちゃえばいいのに。」

その言葉に、私はぎこちない笑みを浮かべるしかなかった。

美波ちゃんは知らない。

私たちがかつて“そうだった”ことも、もう“そうじゃなくなった”ことも。

何も知らずに屈託なく笑う彼女が、少しだけまぶしく見えた。
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